遠くから音が響いている。
繰り返し近くにきて、耳の奥にまで届いて、引いていって。
でも傍にあって、まるで子守唄みたいに自分を包んでいる。
ああ、そうだ。これは海鳴りだ。
「…うーん…」
ぼんやりした視界に最初に映ったのは、想像していた青じゃなかった。
横たわっていたのも砂じゃなく、普通のベッドだ。
木できた簡素な部屋の天井をぼーっと見ていると、小さく空いた扉の隙間から小さな影が入ってきた。
「あ、起きてる! アルー、あのチビッ子起きてるよー」
おい、チビッ子って何だ。お前だってチビだろ!と顔を覗かせた妖精に反論しようとするが、身体を起こした途端「いてっ!」と呻いてしまう。それをちょっと笑って見た彼女は、「うん、うめいてるけど」と言いながら奥に戻っていた。
誰か他にいるのか。あれ、でも今声聞こえなかったよな?
体の左側にある窓へ向いて、ずっと聞いていた海を見る。太陽が高い位置にあった。
内開きのドアが開く音がしたので、視線を再びそちらに移す。
すると、自分より年上らしき少年がいた。
「おはよ」
しかし少年は声を発せず、喋ったのはまたもあの妖精だった。妖精は一緒に入ってきた少年の肩にいた。
静かにこちらを見つめる少年の髪と瞳は、気絶する前に見た、あの深海(うみ)の色だった。
***
舞台はメルヘヴン。ARMはあるけどギンタがメルヘヴン出身だったり戦争の結果が違ったり。
この話のアルヴィスは、目の前で仲間を殺された所為で声を失っています。特定の相手とのみARMの力で意思疎通が可能。
なお身体補助用のARMがあるので、メルヘヴンに手話はない設定。
ギンタ
メルヘヴン出身。六年前失踪した父親を探して故郷を出るが、謎の組織に追われてしまう。
組織の兵と戦い海に落とされ、とある海岸に流れ着きアルヴィスに助けられる。その後追っ手がくるもアルヴィスと協力して撃退。父親の情報を探すべく&もっと強くなるべくアルヴィスの家に居候。
当初の戦闘能力はチェスだとルーク級。偶然訪れたレスターヴァの宝物庫でバッボを見つけ、急激に魔力を伸ばす。
アルヴィス
前大戦時沢山の仲間を殺され、その光景を眼前で見たことが原因で声が出なくなってしまう。
そのため血が苦手。戦いも好まないが目の前で人が傷つくのも見ていられず反射的に庇ったりしてしまう。でも素直じゃない。
ARMの効果で半径5m内ぐらいの近い所や特定の相手には、自分の考えを伝えることが可能。その場合は頭に『声』らしきものが届く。
ただ魔力を消耗するので、大抵の会話はベルの通訳と身振り手振り。
アラン達の保護観察のもと、レスターヴァの城下町から少し離れた海岸で、ベルと暮らしている。
戦闘能力はARM使いとしてはビショップの上程度。本編より低い。
ベル
アルヴィスと一緒に暮らしている妖精。アルヴィスの考えが『声』になるARM の受信機を付けている。そのため大抵彼の通訳となることが多い。
買い物の際にも付いていき目立つので、二人の存在は城下町の人間によく知られている。
ドロシー
珍しいARMを狙ってアルヴィスを襲うが、事情を理解して盗むのは諦める。その後はちょこちょこ顔を出してくる情報屋みたいな存在。
本編同様、姉のディアナを探している。魔女避けの結界の所為でレスターヴァ城には入れない。
ナナシ
レスターヴァ城に盗みに入った所をアルヴィスに目撃され、口封じ(記憶操作とかで)をしに行くが兵に追われているのを逆に助けられてしまう。城下町に盗みに入らない事を条件に、アルヴィスに見逃された。その恩もあり個人的に彼に会いにくる。
ギンタのARM修行の相手もしてやっている。
アラン
本編同様クロスガードのNO.2。呪いは受けておらずスノウの護衛兼なんか偉い役職。
何かと用事を言いつけてアルヴィスを城に来させ、彼の様子を看ている。
スノウ
時折城を抜け出してしまうお姫様。アルヴィスとは面識あり。お供のエドが探し回っている光景が街ではよく見られる。
ジャック
レスターヴァの城下町に出入りしてる花屋のアルバイト。田舎のパヅリカ出身で出稼ぎに来ている。
アルヴィスやスノウはお得意さん。城下町では唯一ナナシの正体を知っているので、街を普通に歩いている彼を見ては「…いいんスかね?」と思っている。ギンタと仲良くなる。
……今気付いたけど、このアルとベルまんま螺閃と鬼凛じゃん(汗)
この他にアルヴィスをずっと探してるチェスのリーダーなファントム(死んでない)がいたり、レスターヴァの実権を握ってるディアナがいたり、行方不明のダンナさんがいます。
レスターヴァを中心に進む話なのに、アラン達がギンタと接触するのはかなり後の方だったり。
Re;birthや猫パラレルが終わったら書ける…かな?考えるのは楽しいので妄想だけが進みそうです(笑)
追記:ジャックの設定載せるの忘れてたので最後に追加。ごめんジャック!!
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